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米国のサーキットブレーカー制度の内容サーキットブレーカーとは、株式や先物取引などの金融市場で、価格が短期間に異常に動いた際に、一時的に売買を停止させる制度のこと。取引をストップさせることで、投資家に冷静に状況・内容を考える時間を与え、市場の動揺を軽減させて、正常な価格に戻させることを目的としています。 アメリカのサーキットブレーカー制度は、1988年に設立されました。前年の1987年10月に、ニューヨークダウ平均株価が1日で20%超も暴落する「ブラックマンデー」が起きたことが、制度誕生の要因です。 米国でのサーキットブレーカー発動の条件は、ある銘柄の株価が5分間で10%以上急落した際に、その銘柄の取引が5分間停止されます。またNYダウ平均株価が10%・20%・30%の暴落が起きた際には、全ての銘柄の取引が30分・60分・120分間停止される・・・といった内容です。 米国でのサーキットブレーカー発動例は、2008年9〜10月に掛けての金融危機時(リーマン破綻や米下院での金融安定化法案の否決)に、何度も実施されています。また2001年9月11日のニューヨーク同時多発テロ時には、翌週月曜日の17日まで一週間に渡り、株式市場が休場となりました。サーキットブレーカーの条件に定められていなくとも、テロのような未曾有の有事の際には、臨時的に休場処置が取られる事もあるようです。 近年では、サーキットブレーカーが十分に機能しなかった例も増えています。特に2010年5月6日に、P&G株が誤発注(※注1)が原因で、わずか10分間ほどで62ドルから39ドル台まで急落し、スリーエムなどその他の銘柄にも連鎖暴落が頻発したことは、サーキットブレーカーが機能していない事を露わにしました。コンピュータプログラムを用いた「自動売買」を行う市場参加者が増えた為、一定基準以上に株価が下落すれば、自動的にストップロスの売りが入ることが増えたことが原因の一つです。 このP&G誤発注事件を受けて、米国の証券取引委員会では、全銘柄の取引停止条件を7%・13%・20%に短縮させることや、その参照指数をNYダウ平均株価からS&P500指数に変更すること、また個別銘柄の停止に関しても対象範囲を広げる(小型株やETFも含める)ことなど、サーキットブレーカーの内容改革が検討されています。 ちなみに日本の株式市場には「ストップ安」という値幅制限処置がある為、個別銘柄に関してのサーキットブレーカー制度は導入されていません(米国にはストップ安制度は無い)。 ◆関連サイト |
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