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ホリエモン(堀江貴文)が時価総額世界一を目指した理由

2013年3月、証券取引法違反により刑務所に収監されていた、ホリエモンこと堀江貴文氏が仮釈放されました。彼がライブドアの社長に居た時の口癖は「時価総額世界一を目指す!」というものでした。では何故ホリエモンは、法を犯してまで、時価総額世界一を目指したのでしょうか?

一つ目の理由は、他でもないホリエモン自身が儲かるからです。ホリエモンはライブドアの創始者であり大株主ですから、ライブドアの時価総額が増えれば増えるほど、自身の資産も増大します。

ホリエモンはライブドア株を、ピーク時には40%以上ありましたが、ニッポン放送買収時には20%程度に低下しました(※注1)。しかし20%であっても、その後時価総額が世界最大(およそ40〜50兆円規模)になっていれば、ホリエモンの資産は8〜10兆円になる計算です。これは、ビルゲイツやウォーレンバフェットを遙かに凌ぎ、長者番付世界一に相当します。

つまり、目論見通りライブドアの時価総額が世界最大になれば、ホリエモンは世界一の大金持ちになれたのです。堀江氏は自己顕示欲の塊のような人間(頻繁なテレビ出演や、選挙出馬などから明らか)ですから、世界一の大富豪を目指すというのは、道理に適った行動でしょう。

もう一つの理由は、それがライブドアという会社が「世界一」になれる、唯一可能な目標だったことです。同じ世界一でも、売上高や純利益で世界一というのは、ライブドアにとっては不可能な目標だからです。

ニッポン放送買収で話題となった2004年、ライブドアの売上高は300億円程度でした。ニッポン放送を連結子会社にした時も、1400億円にすぎません。当時、世界最大の売上高を争っていたのは、エクソンモービル(2900億ドル)やウォルマート(2600億ドル)などで、日本円にして約30兆円ですから、ライブドアはその1000分の1程度の規模です。その後、ライブドアが買収を続けて規模を拡大していったとしても、売上高や純利益で世界一というのは、まず不可能だった訳です。

意図的にバブルを起こし、ライブドアの株価を上げ続けようとした

一方で、時価総額というのは「株価×発行済株式数」で表されます。そして株価というのは、投資家の期待値が高ければ、企業の実力以上に跳ね上がることもあるので、時価総額は会社の実力以上に大きくなることも可能です。いわゆる「バブル」というのも、会社の収益力等に見合わないほど、株価が釣り上がった状態のことです。

そしてホリエモンは、ライブドアの時価総額を大きくする為に、株価のバブルが続くよう、様々な策略を使いました。ライブドアが頻繁に株式分割を行ったのは、需給を逼迫させて、株価を高値で留めておくためでした。日本放送(フジテレビ)の買収を目指し、具体案も無いまま「ネットとテレビの融合」などど大見栄を切り、世間を煽り続けたのも、株価を釣り上げる目的があったからです。

90年代末のITバブル期、アメリカではシスコやヤフーなど、PERが100倍以上に膨れあがった株が少なくありません。AOLに至っては、実績PERが700倍にも達していました。PER100倍という意味は、利益の100倍もの株式時価総額だという事です。純利益が1千億円なら、時価総額が10兆円ということです。

2012年末現在、時価総額世界最大の企業は、iPhoneでお馴染みのアップル社の約5千億ドルです。そしてアップルの利益はおよそ300億ドルです。即ち、アップルと同程度のPERで、時価総額世界最大になるには、年間3兆円もの利益を上げる巨大企業を作らなければなりません。当然、ライブドアがこの規模に達することは不可能です。

しかし、もしPERが100倍で良いのであれば、利益は5千億円程度で済みますし、PER200倍なら2500億円、500倍なら1000億円程度で済みます。2012年度のヤフージャパンが、年間利益1150億円程度ですから、ライブドアが年間利益1000億円というのは、将来的に十分達成可能なレベルだったと言えるでしょう。

ホリエモンが証券取引法違反を犯さずして、あの手この手を使いながら投資家の期待を集め続け、ライブドアの株価をバブル状態にしつづけていれば・・・世界一の売上高や利益は不可能ですが、世界一の時価総額というのなら、可能性はゼロでは無かったのです。そして、世界の長者番付のトップに「堀江貴文」という名が刻まれていたかもしれません。

 

※注1;日本放送を買収する資金の調達として、リーマンブラザーズ証券に新株予約権付社債を発行したこと等で、ホリエモンのライブドア株の保有比率は下がりました。

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