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ETFの信託報酬が安い理由

日本でも2010年以降、ようやくETFが充実し始めています。出来高が少ないという問題はあるにせよ、低コストで海外の株式に分散投資できる事は、個人投資家にとっては素晴らしいメリットだと言えます。

さて、皆さんはETFのコスト(信託報酬)が極めて格安である事はご存知かと思いますが、なぜ安いのかという理由は知っていますか?

ETFは「Exchange Traded Funds」の略で、日本語に直すと「上場投資信託」という意味となり、投信の一種です。しかし、同じ投資信託なのに、株式市場に上場すると、途端に信託報酬が安くなるのです。同じ資産クラス同士の投資信託とETFで、最安の信託報酬を比較してみると・・・

アセットクラス 投資信託(インデックスファンド) ETF
TOPIX STAM日本株式インデックス=0.389% TOPIXETF【1306】0.115%(実績)
MSCIコクサイ STAMグローバル株式=0.525% 日興MSCIコクサイ【1581】0.25%
エマージング 日興・年金積立インデックスファンド〜
海外新興国株式=0.578%
日興MSCIエマージング【1681】0.25%

このように、明らかにETFの方が低コストなのです。株式市場に上場すると、四半期毎に決算発表や有価証券報告書の提出が必要ですし、何かある度に取引所への適時開示報告なども必要となり、事務コストが非常に掛かります(※注)。ただの投資信託として運用していた方が、運営コストは低くなるはずです。なぜ、上場してETFとなった方が、信託報酬が安いのでしょうか?

販売会社(証券会社)の取り分がない事が理由

その理由は、信託報酬の構成比率にポイントがあります。投資信託の信託報酬は、そのファンドの運用会社以外にも、ファンドの資産管理会社(信託銀行など)と、ファンドの販売会社(SBI証券・楽天証券など)にも、取り分が設定されています。一方でETFの信託報酬の場合、一番最後の「販売会社」、即ち証券会社の取り分が設定されないのです。この販売会社の利益が無い分だけ、信託報酬が安くなることが、ETFのコストが安い理由です。

この裏事情を知っていると、日本でETFが中々浸透しない理由も見えてきます。証券会社は、投資家と直接コンタクトを持つ存在です。その証券会社が、ETFを幾ら販売しても、信託報酬からの利益が得られない訳ですから、積極的に販売する動機が薄いのは当然でしょう。同じ新興国株式でも、ETFではなく投資信託を販売すれば、投資家が売買せずに保有し続けているだけでも、毎年一定の信託報酬が得られる訳ですから。

しかし投資家から見れば、信託報酬は安いに超した事はありません。同じ新興国株式なら、投資信託ではなくETFにした方が、特に長期投資した場合には大きなコスト差が付きます。ETFと投信の販売に関しては、投資家と証券会社は、完全に利益相反の関係になるのです。

 

◆関連サイト
信託報酬の影響;わずかな差でも、長期投資の場合には大きな利回りの差を生むことになる。

※注;新興市場などには、この事務コスト削減を名目に、自ら上場廃止を選ぶ企業もあります。さすがにこれは本音ではなく、株式上場によって創業者一族が利益を得た後では、上場を続ける意味はほとんど無いからでしょう。

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